TVerの広告が多すぎると感じる理由と2025年最新ブロック事情

最近、見たいドラマやバラエティをTVerで見ていると、いいところでCMが入って「TVerの広告が多すぎる」と感じてしまうことはありませんか。CMの時間が長いだけでなく、何度も同じ広告が流れてうざいと感じたり、スキップできない仕様にストレスを感じたりすることもあるでしょう。実は、TVerの広告がこれほど多いのには、無料で高品質なコンテンツを維持するための明確な理由や仕組みが存在します。また、どうしても広告を消す方法やブロックしたいと考える方に向けて、現在どのような対策が有効で、どんなリスクがあるのかも気になるところです。

この記事を読むことで、以下の点について理解を深められます。

ここでは、TVerの広告が多すぎると感じる構造的な理由について、その仕組みや背景にある事情を深掘りしていきます。

TVerの広告が多すぎると感じる構造的理由

私もTVerを利用していて、ドラマのクライマックス直前で長い広告が入ると、どうしても「多いな、またか」とスマホを置きたくなる瞬間があります。しかし、いちユーザーとしてだけでなく、WEBの仕組みを探求する立場としてこの「多さ」を深掘りしてみると、そこにはテレビ局ならではの避けられない事情と、無料サービスを継続するための非常にシビアな経済的理由が絡み合っていることが見えてきました。

TVerの広告の仕組みとなぜ増えるのか

TVerの広告が多いと感じる最大の要因は、そのビジネスモデルがYouTubeなどの投稿型動画サイトとは根本的に異なり、「放送局連合による公式プラットフォーム」として設計されている点にあります。TVerは、在京民放5社（日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ）が主導して立ち上げた、世界でも珍しいコンソーシアム型のサービスです。

なぜ広告がこれほどまでに挿入されるのか、その背景には以下の3つの構造的な要因が複雑に絡み合っています。

1. 純粋なAVOD（広告付き無料配信）モデルの宿命

NetflixやAmazon Prime Videoが月額料金を徴収する「SVOD（サブスクリプション）」であるのに対し、TVerはユーザーから視聴料を一切徴収しない「AVOD」モデルを貫いています。これは、放送局が長年続けてきた「スポンサー収入で番組を制作し、視聴者には無料で見せる」という地上波のビジネスモデルを、そのままインターネット空間に移植したものです。ユーザーが財布を開かない以上、TVerがサーバー代やコンテンツ制作費を回収する手段は「広告」しかありません。無料で高品質なドラマを提供し続けるためには、必然的に広告の露出量を最大化する必要があるのです。

2. 爆発的なインフラコストの増大

近年、TVerのユーザー数は右肩上がりで増加しています。2024年のパリオリンピック配信などでは過去最高のアクセス数を記録しましたが、これはプラットフォーム側にとって「嬉しい悲鳴」であると同時に「莫大なコスト負担」でもあります。数千万人のユーザーに対して、遅延なく高画質な動画を届けるためには、CDN（コンテンツデリバリネットワーク）という配信インフラに巨額の投資が必要です。この肥大化するインフラコストを賄うためには、一人当たりの広告視聴単価（ARPU）を高める、つまり「より多くの広告を見てもらう」以外に選択肢がないのが現状です。

3. 地上波広告費の減少とデジタルの重要性

テレビ局を取り巻く環境は激変しています。総務省の調査によれば、インターネットの利用時間は年々増加し、テレビのリアルタイム視聴時間は減少傾向にあります。これに伴い、企業が地上波テレビに投下する広告費も減少しています。

テレビ局にとって、TVerでの広告収入は、減りゆく地上波収入を補うための「新たな生命線」です。そのため、以前にも増してTVer上の広告枠（在庫）を余すことなく販売し、収益化しようとする経営的な圧力が働いています。これが、私たちが感じる「以前より広告が増えた気がする」という感覚の正体です。

TVerに広告なしの有料プランはない

「月額1,000円くらいなら払うから、広告なしで快適に見たい」と考えるユーザーは非常に多いですし、私もその一人です。YouTubeにはPremiumプランがあり、ABEMAにもプレミアムプランが存在します。しかし、2025年現在になっても、TVerには「広告を消すための有料プラン」が実装される気配はありません。

なぜTVerは、ユーザーの強い要望があるにもかかわらず有料プランを作らないのでしょうか。そこには、技術的な問題以上に、複雑な「権利関係」と「利害調整」の壁が存在します。

権利処理と収益分配の複雑さ

TVerは単一の企業が運営しているわけではなく、ライバル関係にある民放各社が手を組んで運営しています。もし「TVerプレミアム」のような月額課金サービスを始めた場合、その売上をどうやって各局に分配するかという問題が発生します。「再生数」だけで割ればいいと思うかもしれませんが、ドラマの制作費はバラエティより遥かに高く、単純な再生数割りでは不公平が生じます。また、出演者の肖像権や音楽の著作権など、放送と通信の権利処理の壁も依然として高く、有料配信（SVOD）にするためには、広告付き無料配信（見逃し配信）とは全く異なる契約を結び直す必要があるケースも多いのです。

各局独自の有料サービスとの競合

さらに厄介なのが、各テレビ局がすでに独自の有料動画配信サービスを持っているという点です。

もしTVerで安価に広告なし視聴ができるようになれば、各局が力を入れているこれらの有料サービスの会員を奪ってしまう（カニバリゼーション）リスクがあります。各局としては、TVerはあくまで「番組の宣伝」や「無料での入り口」と位置付け、広告なしで見たい濃いファンは自社の有料サービスに誘導したいというのが本音でしょう。

TVerの広告がうざいと感じる心理

 

ユーザーが「TVer 広告 多すぎ」と検索する時、そこには単なる「量」の問題だけでなく、広告の「質」や「タイミング」に対する心理的なストレス、いわゆる「うざい」という感情が大きく関わっています。なぜテレビのCMは我慢できるのに、TVerの広告はこれほど不快に感じるのでしょうか。

「リーンバック」と「リーンフォワード」の決定的違い

最大の理由は、視聴スタイルの違いにあります。リビングでテレビを見る時は、ソファに座ってリラックスした「リーンバック（後傾姿勢）」の状態です。CMが流れればトイレに行ったり、家族と話したり、スマホをチェックしたりと、適度に注意を逸らすことができます。

一方、スマホやタブレットでTVerを見る時は、画面を至近距離で凝視し、手で端末を持っている「リーンフォワード（前傾姿勢）」の状態です。この没入状態で、突然強制的にコンテンツを遮断され、逃げ場のない画面で15秒〜30秒の広告を見せられることは、心理的な拘束感が非常に強く、テレビCMの何倍もの長さに感じられます。

フリークエンシー（接触頻度）の制御不全

TVerの広告で特に不満が多いのが、「同じ広告が何度も連続で流れる」という現象です。これは「フリークエンシー（接触頻度）」の問題です。本来、広告配信システムは同じ人に同じ広告を出しすぎないよう制御する機能を持っています。

しかし、広告主の出稿量が少なかったり、ターゲット設定が狭すぎたりすると、配信できる広告の「在庫」が不足し、システムが「空き枠を埋めるために、利用可能な同じ広告をひたすら流す」という挙動に出ることがあります。心理学には、単純接触効果（ザイオンス効果）といって、接触回数が増えるほど好感度が増す法則がありますが、TVerのような強制視聴環境で同じ広告を過剰に見せられると、逆に嫌悪感を抱く「広告疲労（Ad Fatigue）」を引き起こします。

長いTVerの広告をスキップできない訳

YouTubeのTrueView広告なら「5秒後にスキップ」ができますが、TVerの広告は原則として最後まで見なければなりません。なぜTVerは頑なにスキップ機能を導入しないのでしょうか。

これには、TVerが広告主に対して販売している「商品価値」の定義が関係しています。TVerは広告主に対し、「非常に高い視聴完了率（Completion Rate）」を最大のセールスポイントとしています。一般的に、TVerの広告視聴完了率は90%を超えていると言われています。

「アテンション（注意）」の切り売り

広告主にとって、YouTubeのスキップ可能な広告は「見られないリスク」が高い商品です。しかし、TVerの広告は「ユーザーがコンテンツの続きを見たいがために、画面の前で待機してくれる」という、極めて強い拘束力を持っています。この「確実に見てもらえる時間（アテンション）」こそがTVerの商品であり、だからこそテレビCM並みの高い単価で広告枠を販売できているのです。

スキップ導入＝収益崩壊のシナリオ

もし仮にTVerがスキップ機能を導入したとしましょう。ユーザー体験は向上するかもしれませんが、広告の視聴完了率は劇的に低下します。そうなれば、広告主にとっては「TVerに出稿するメリット」が薄れ、広告単価（CPM）は暴落します。結果として、現在の「無料・高画質・公式」というサービス品質を維持することが経済的に不可能になり、サービスの存続自体が危ぶまれることになります。

「スキップさせろ」というユーザーの声はもっともですが、プラットフォーム側からすれば、その仕様変更はビジネスモデルの自殺行為に等しいため、今後も導入される可能性は極めて低いと言わざるを得ません。

では、私たちはこの構造的に「多すぎる」広告とどう向き合えばいいのでしょうか。次は、技術的な側面からのアプローチについて解説します。

TVerの広告が多すぎる時の対処法とブロック

構造的な理由は十分に理解できても、やはり「快適に見たい」「時間を節約したい」という欲求は消えません。ここでは、インターネット上で議論されている広告ブロックの方法が2025年現在どこまで通用するのか、そしてブロックではなく不具合で広告が増えてしまっている場合の対処法について、技術的な視点も交えてまとめていきます。

TVerの広告をブロックする最新の方法

 

まず大前提としてお伝えしたいのは、TVer側と広告ブロック技術の間では、常に高度な「いたちごっこ」が繰り広げられているという事実です。かつては単純なブラウザの拡張機能で簡単に広告を消せましたが、最近はTVer側も技術的な対策を大幅に強化しています。

CSAIからSSAIへの技術的移行

現在、TVerを含む多くのプレミアム動画配信サービスで主流となっているのが、**サーバーサイド広告挿入（SSAI：Server-Side Ad Insertion）**という技術です。 従来の手法（CSAI）では、動画プレーヤーが「本編の動画」と「広告の動画」を別々のサーバーに取りに行っていました。そのため、広告サーバーへのアクセスだけをブロックすれば、簡単に広告を消すことができました。

しかし、SSAI技術では、配信サーバー側で「本編」と「広告」を一本の動画ストリームとして結合（スティッチング）してからユーザーに送信します。ユーザーのデバイスに届く時点では、広告も本編も「ひとつの繋がったデータ」になっているため、従来のような「広告の通信だけを特定してブロックする」という手法が通用しづらくなっているのです。

スマホやPCでTVerの広告を消す手順

それでも、PCのブラウザ環境などでは、一定のブロック成功例が報告されています。最も一般的なのは「拡張機能（アドオン）」を使用する方法です。

uBlock Originの現状

世界的に定評のある広告ブロック拡張機能「uBlock Origin」ですが、TVerに対しては標準設定のままでは広告が貫通して表示されるケースが増えています。これに対抗するため、上級ユーザーは「AdGuard URL Tracking Protection」などの特定のフィルタリストを手動で追加したり、ブラウザの仕様変更に対応した「uBlock Origin Lite」へ移行したりして試行錯誤していますが、成功率は100%ではありません。

ブロックによる副作用

また、強力にブロックしすぎると、TVerの再生プレーヤーが異常を検知し、以下のような副作用が発生することがあります。

動画が再生されない（ブラックアウト）: 広告だけでなく本編の読み込みも止まってしまう。

再生エラーが出る: 「動画の読み込みに失敗しました」というエラーメッセージが表示される。

アンケートの強制表示: 広告が消えても、動画再生前にアンケート画面で止まってしまう。

これらの設定を行うにはある程度のITリテラシーが必要であり、アップデートで突然使えなくなることも日常茶飯事です。

BraveやAdGuardの広告ブロック効果

ネット上の口コミでよく目にする「Braveブラウザを使えば消える」「AdGuardを入れると良い」という情報。これらのツールの仕組みと、実際の効果について解説します。

TVerの広告がループする不具合の直し方

「広告が多い」と感じる原因が、実はTVer側の仕様ではなく、システムの不具合（バグ）である場合も少なくありません。特にユーザーを悩ませているのが、「同じ広告が何度も繰り返されて本編に戻らない」あるいは「広告が終わった瞬間にフリーズする」という広告ループ現象です。

これは、通信環境の不安定さや、アプリが一時保存しているデータ（キャッシュ）の不整合によって発生します。特に、広告再生終了時にプレーヤーがサーバーに送る「見終わりました」という信号（ビーコン）が正常に送信されないと、システムは「まだ広告を見終わっていない」と判断し、再度広告を再生しようとします。もしこの現象に遭遇したら、以下の手順を試してみてください。

また、意外な落とし穴として、中途半端に広告ブロック機能（DNS設定やVPNアプリ）が働いていると、広告終了の信号送信だけが阻害され、無限ループを引き起こす原因になることがあります。不具合が起きたら、一度すべてのブロック機能をオフにすることをおすすめします。

Fire TV Stick等の広告対策と設定

リビングの大画面でTVerを楽しむために、Amazon Fire TV StickやAndroid TV内蔵テレビを利用している方も多いでしょう。これらのテレビデバイスでは、PCのようにブラウザの拡張機能を自由に入れることができないため、広告対策は非常に限定的になります。

一部の上級者は、Wi-Fiルーターの設定で「AdGuard DNS」などの広告ブロックDNSを指定することで、家庭内の全デバイスの広告をブロックしようと試みています。しかし、これもSSAI技術の普及により、TVerの動画広告を完全に消すことは難しくなっています。むしろ、DNS設定を変更することでTVer以外の動画サービスが見られなくなったり、ネットの接続速度が低下したりするデメリットの方が大きくなることもあります。

Fire TV Stickユーザーにとって最も現実的な対策は、ブロックすることよりも「デバイスを軽く保つこと」です。Fire TV Stickはスマホに比べて処理能力が低いため、キャッシュが溜まると動作が重くなり、広告の読み込みでフリーズしやすくなります。定期的に「設定 > アプリケーション > インストール済みアプリ > TVer」からキャッシュを削除するメンテナンスを行うことが、結果的にイライラを減らす近道です。

TVerの広告が多すぎるときの最終結論

ここまで見てきたように、TVerの広告が多すぎるのは、私たちが会員登録なし・無料で高品質なテレビコンテンツを楽しむための「代償」として、ビジネスモデルの中に構造的に深く組み込まれたものです。技術的なブロック手段は存在しますが、完全ではなく、常にTVer側とのいたちごっこの状態であり、不具合のリスクも伴います。

私たちが取れる現実的な選択肢は、以下の3つに集約されます。

• リスク承知でブロックを試みる: 自己責任でBraveやAdGuardなどを導入し、見られたらラッキーと考える（ただし再生エラーや不具合が起きても文句は言えません）。
• 不具合を解消してストレスを減らす: 「広告が多い」と感じる原因がループやフリーズなどのバグなら、こまめなキャッシュ削除でスムーズな再生を取り戻す。
• 「テレビの代わり」と割り切る: 広告時間はトイレ休憩やスマホタイムと割り切り、無料で番組が見られるメリットを享受する。

今後、コネクテッドTV（CTV）の普及などでTVerの収益構造が変化すれば、有料プランなどの選択肢が生まれる可能性もゼロではありません。しかし現状では、この「広告付きモデル」の仕組みを理解し、自分に合った付き合い方を見つけることが、ストレスなく動画コンテンツを楽しむための最適解と言えるでしょう。