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Geminiで小説を執筆するプロンプトの書き方【完全ガイド】

Geminiで小説を執筆するプロンプトの書き方【完全ガイド】

Geminiで小説を書きたいけれど、どうやって指示を出せばいいのか分からない、と感じていませんか。生成AIの進化は目覚ましく、今や文章作成だけでなく、クリエイティブな創作活動の領域でも強力なパートナーとなり得ます。この記事では、「Gemini 小説 プロンプト」というキーワードで検索しているあなたのために、全くの初心者でも安心して始められる小説の書き方から丁寧に解説します。まず、小説執筆におけるGeminiの得意なことや苦手なことを深く理解し、その上でGeminiの小説プロンプトが持つ基本的な構成要素を学び、すぐに使えるコピペ可能な小説プロンプトの基本テンプレートまで具体的に紹介します。さらに、物語の魂となる魅力的なキャラクターを生成するプロンプト術、読者を一瞬で引き込む世界観を構築するためのプロンプト、そして面白い物語のプロット、つまりあらすじを作成させるプロンプトといった、より実践的で高度なテクニックも深く掘り下げていきます。Geminiで一貫性のある長文小説を執筆するコツはもちろんのこと、一度生成した文章を磨き上げるための修正・リライトをさせるプロンプトや、「ですます調」「である調」など微細な文体を指定するプロンプトの応用技も網羅しました。また、多くの人が陥りがちな、やってはいけないGeminiの小説プロンプトが持つNG例についても触れ、創作の第一歩である小説のアイデア出しに使えるGemini活用プロンプトまで、あなたの創作活動を根底から支え、加速させるための情報を余すところなく詰め込んでいます。

この記事のポイント

  • Geminiを使った小説プロンプトの基本構造がわかる
  • キャラクターや世界観を作る具体的なプロンプト術を学べる
  • コピペして使える便利なプロンプトテンプレートが手に入る
  • 初心者が陥りがちな失敗例とその対策を理解できる

Geminiで小説プロンプトの基本と始め方

  • 小説執筆でのGeminiの得意なこと・苦手なこと
  • 初心者でもわかるGeminiでの小説の書き方
  • Geminiで小説プロンプトの基本的な構成要素
  • コピペで使える小説プロンプトの基本テンプレート
  • 小説アイデア出しに使えるGemini活用プロンプト

小説執筆でのGeminiの得意なこと・苦手なこと

小説執筆でのGeminiの得意なこと・苦手なこと

Geminiを小説執筆のパートナーとして最大限に活用するためには、まずAIの能力的な得意分野と不得意分野を正確に理解しておくことが非常に重要です。AIを単なる「文章作成ツール」ではなく、「特性を持ったアシスタント」として捉えることで、AIへの指示が的確になり、創作活動の効率が飛躍的に向上します。

例えば、Geminiはアイデアの壁打ち相手として非常に優れています。自分一人では思いつかないような斬新な設定や物語の展開を、学習した膨大なデータに基づいて、瞬時に何パターンも提案してくれるでしょう。これは、作家が自身の思考の枠を超え、新しい可能性を探る上で強力な触媒となります。また、特定のシーンにおける情景描写や比喩表現のバリエーションを増やすといった、文章表現の補助も得意な作業の一つです。「この夕焼けのシーンを、もっと物悲しい雰囲気で描写して」と頼むだけで、多様な表現の選択肢を得ることができます。

執筆に行き詰まったとき、Geminiは最高のブレインストーミングパートナーになります。「この場面をもっと感動的に描写して」と頼むだけで、複数の表現パターンを提示してくれるので、創作の幅がぐっと広がりますよ。

一方で、Geminiには人間とは異なる根本的な苦手分野も存在します。最も注意すべきは、長文における物語の一貫性の維持です。これはAIが一度に処理できる情報量(コンテキストウィンドウ)に限界があるためで、チャットセッションが長くなると、物語の初期に設定したキャラクターの口調や重要な伏線を忘れ、矛盾した内容を生成してしまうことがあります。そのため、生成された文章を鵜呑みにせず、必ず人間の目で最終的な編集者としてチェックし、修正を加える作業が不可欠です。

Geminiの得意・不得意 詳細まとめ

項目 得意なこと(具体例) 苦手なこと(具体例)
アイデア創出 「絶海の孤島」と「タイムリープ」を組み合わせたプロット案を5つ出す、といった具体的な発想支援。キャラクターの意外な背景設定の提案。 人間ならではの原体験に基づく、全く新しい哲学や独創的なテーマの創出。社会風刺や深い皮肉に満ちたアイデアの生成。
文章生成 指定された条件(例:三人称視点、硬質な文体)に基づき、安定した品質の文章を高速で作成。定型的な描写や説明文の生成。 登場人物の言葉にできないような複雑な感情の機微や、矛盾を抱えた心理状態の繊細な描写。読者の意表を突くような比喩表現。
一貫性 数百から数千ワード程度の短いシーンや章の中での設定(服装、場所、時間など)の一貫性を保つこと。 数十万ワードに及ぶ長編全体を通して、伏線を張り、回収し、キャラクターを一貫して成長させるといった長期的な構成管理。

このように、Geminiは万能の魔法の杖ではありません。得意な作業は積極的に任せ、苦手な部分は人間が「監督」「編集者」として補うという「共作」の意識を持つことが、AIとの上手な付き合い方と言えるでしょう。AIを賢く使うことで、作家はより創造的な部分に集中できるようになるのです。

初心者でもわかるGeminiでの小説の書き方

初心者でもわかるGeminiでの小説の書き方

Geminiを使って小説を書き始めるのは、決して難しいことではありません。むしろ、これまで「自分には才能がない」と諦めていた人にとって、物語を創り出すための強力な第一歩となり得ます。ここでは、全くの初心者がGeminiと共に物語を創り出すための、より具体的で実践的なステップを解説します。

Step 1: 物語の「核」となるコンセプトを決める

最初に、あなたが書きたい物語のジャンル、テーマ、そして「もし〇〇が××だったら?」という一文で表せるようなコンセプト(ログライン)を決めます。これは、物語全体の方向性を定めるためのコンパスの役割を果たします。例えば、「近未来の東京を舞台にした、記憶を失った探偵が、自分自身が開発したAIの助けを借りて過去の事件を追う物語」といった、具体的で魅力的なイメージを持つことが大切です。

ポイント:この段階では完璧でなくても構いません。「こんな話が読みたい」「こんな主人公が見たい」という純粋な気持ちを大切に、自由に発想を広げてみましょう。コンセプトがしっかりしていると、後でAIに指示を出す際にもブレが生じにくくなります。

Step 2: 具体的な情報を盛り込んだプロンプトを入力する

次に、決めた物語の核をGeminiに伝えます。このとき、できるだけ具体的に、かつ整理された形で情報を与えるのがコツです。以下の例のように、設定を箇条書きにして伝えると、AIが物語の世界観やキャラクターを正確に理解しやすくなります。

プロンプト入力例:

これから小説を書きます。以下の設定に基づいて、物語の導入部分を800字程度で執筆してください。

# 設定

- ジャンル: サイバーパンク・ミステリー

- 舞台: 2077年のネオ東京。酸性雨が降り注ぎ、企業ロゴのネオンが絶えず明滅している。

- 主人公: アキラ。30代男性。記憶喪失の元刑事で、今は場末の探偵。皮肉屋だが、根は優しい。

- 口調: 短く、断定的に話す。「…ああ、そうか」「問題ない」など。

- あらすじ: アキラは、自分自身の過去を探るうちに、都市を裏で牛耳る巨大企業「オムニ・コーポレーション」の陰謀に巻き込まれていく。

この指示によって、Geminiは単なるあらすじだけでなく、指定された雰囲気やキャラクターの口調を反映した、よりリッチな導入部の文章を生成してくれます。

Step 3: 対話を重ねて物語を「育てて」いく

Geminiが生成した文章は、あくまで最初の草稿です。ここから、対話を通じて物語を掘り下げ、育てていく工程が始まります。例えば、新しいキャラクターを登場させたり、特定のシーンの描写を詳しくさせたりといった対話を通じて、物語を章ごとに少しずつ進めていくのです。

「主人公のライバルとなる、オムニ・コーポレーションのエリート女性科学者を一人作成してください」「雨が降る夜の新宿の雑踏を、もっと五感に訴えるように詳しく描写して」といったように、具体的なリクエストを重ねていくことが、物語に深みとリアリティを与える鍵となります。この反復的なプロセスこそが、AIとの共作の醍醐味です。

注意点:一度に長すぎる文章を生成させようとすると、前述の通り内容が破綻しやすくなります。最初は500~1000字程度の短いセクションで依頼し、その内容に満足したら次のセクションへ、というように、短いスパンで確認と修正を繰り返しながら進める方法が、結果的に質の高い長編への近道となります。

Geminiで小説プロンプトの基本的な構成要素

小説プロンプトの基本的な構成要素

効果的なプロンプトを作成するためには、その基本構造、いわば「設計図」を理解しておくことが欠かせません。優れたプロンプトは、主に以下の4つの構成要素から成り立っています。これらを意識的にプロンプトに盛り込むことで、AIからの応答の精度を格段に向上させることができます。

プロンプトの4大構成要素

  1. 役割(Role): AIにどのような立場の専門家として振る舞ってほしいかを指定します。「あなたはプロの脚本家です」「あなたは歴史学者です」のように、ペルソナを与えることで、AIの応答スタイルや知識の参照範囲が最適化されます。
  2. 指示(Instruction): AIに実行してほしい具体的なタスクを明確に伝えます。「以下の設定で小説を書いてください」「この文章を校正してください」など、行動を促す動詞を使って簡潔に記述します。
  3. 文脈(Context): タスクを遂行するために必要な背景情報や設定、制約条件などを与えます。キャラクター設定、世界観、これまでのあらすじなどがこれに該当し、最も多くの文字数を割く部分です。
  4. 出力形式(Output Format): どのような形式で回答してほしいかを指定します。「小説形式で」「箇条書きで」「表形式で」のように具体的に指定することで、後の編集作業が格段に楽になります。

これらの要素を組み合わせたプロンプトの具体例を見てみましょう。各要素がどのように機能しているかがよくわかります。

具体例:

あなたは数々の受賞歴を持つプロのSF小説家です。特にハードSFのジャンルを得意としています。(役割)

以下の設定に基づいて、読者の心を掴み、科学的なリアリティを感じさせる物語の冒頭部分を執筆してください。(指示)

# 設定

- 主人公: エリアナ・サトウ博士

- 職業: 恒星間宇宙船「アルゴス号」の主任科学者

- 状況: 目的地であったプロキシマbへの到着直前、未知の重力異常によって船が未知の惑星系に緊急ワープしてしまった。船の損傷は軽微だが、現在地は不明。(文脈)

エリアナ博士の一人称視点による小説形式で、彼女の冷静な分析と内面の動揺が伝わるように、約800字で出力してください。(出力形式)

このように、各要素を明確にプロンプトに含めることで、Geminiはあなたの意図をより正確に汲み取り、期待に限りなく近い、質の高い文章を生成してくれるようになります。特に「役割」を指定することは、AIの思考の方向性を定める上で非常に効果的なので、必ずプロンプトの冒頭に記述するように心がけてみてください。

コピペで使える小説プロンプトの基本テンプレート

コピペで使える小説プロンプトの基本テンプレート

毎回ゼロからプロンプトを考えるのは大変ですし、重要な要素を伝え忘れる原因にもなります。そこで、様々なシーンで応用できる、より詳細で実践的な基本テンプレートを用意しました。以下のテンプレートの{}内をあなたの書きたい内容に書き換えるだけで、プロ品質の指示を安定して出すことができます。

このテンプレートをベースに、自分だけのオリジナルテンプレートを作っていくのが上達への近道です。例えば、ファンタジー用、ミステリー用など、ジャンルごとに特化したテンプレートを派生させていくと、作業がどんどん効率化されていきますよ。

万能プロンプトテンプレート(詳細版)

以下のテキストをコピーし、{} の部分をあなたの物語に合わせて書き換えてお使いください。

# 命令書

あなたはプロの{ジャンル}小説家です。以下の設定と指示に従って、最高の物語を創作してください。

# 基本設定

- タイトル案: {小説の仮タイトル}

- ジャンル: {ファンタジー、ミステリーなど}

- 読者ターゲット: {10代女性、SFファンなど}

- 文体・視点: {硬質でクールなトーン、三人称視点など}

- 物語の核となるテーマ: {愛、裏切り、成長など}

# 世界観

{物語の舞台となる世界の基本的なルールや特徴}

# 登場人物

{このシーンに登場するキャラクターのリストと、それぞれの性格、目的、口調など}

# これまでのあらすじ

{物語の現在地までの簡単なあらすじ。箇条書きで簡潔に}

# 今回の執筆範囲

{今回執筆してほしいシーンの開始から終了までの概要}

# 執筆指示

{上記の執筆範囲について、特に重視してほしい点や、必ず描写してほしい心理、行動などを具体的に指示}

# 制約条件

- 文字数: {〇〇字程度}

- 必ず含める要素: {特定のセリフ、アイテム、伏線など}

- 避けるべき表現: {暴力的な描写、専門的すぎる用語など}

このテンプレートの強みは、AIに与えるべき情報が網羅されており、思考の抜け漏れを防げる点です。特に「今回の執筆範囲」と「執筆指示」を明確に分けることで、AIに対して「何を書くか(What)」と「どう書くか(How)」を両方伝えることができ、より意図に沿った文章を引き出しやすくなります。「これまでのあらすじ」や「登場人物」の項目を毎回更新していくことで、物語の一貫性を保つ上でも極めて有効です。ぜひ、このテンプレートをあなたの創作活動の出発点としてご活用ください。

小説アイデア出しに使えるGemini活用プロンプト

小説アイデア出しに使えるGemini活用プロンプト

物語の執筆において、最も創造性が問われ、同時に多くの作家が苦しむ工程の一つが「アイデア出し」です。時には、何から書き始めれば良いか、全くの白紙の状態で途方に暮れてしまうこともあるでしょう。そんな時、Geminiは発想を刺激し、思考の制約を打ち破ってくれる最高の壁打ち相手になります。

ポイントは、漠然とした質問ではなく、具体的な「制約」や「掛け合わせ」を設けた質問を投げかけることです。制約がある方が、AIはユニークで具体的なアイデアを生成しやすくなります。これは、創造性が自由の中からではなく、むしろ制約の中から生まれることが多いという人間の創作プロセスにも通じる点です。

テーマや要素を「掛け合わせる」プロンプト

全く異なる二つのテーマや要素を強制的に組み合わせることで、予期せぬ化学反応が起き、新しい物語の種が生まれることがあります。これは古典的な発想法ですが、AIを使えばその組み合わせを無限に試すことができます。

プロンプト例: 「古代ローマ」と「サイバーパンク」という、時代も世界観も全く異なる2つのテーマを組み合わせたSF小説のプロット案を3つ提案してください。それぞれの案には、意外性のある展開と魅力的な主人公像を含めてください。

特定のシチュエーションから「逆算する」プロンプト

印象的なワンシーンや、頭に浮かんだ具体的なイメージから物語全体を構築していく方法も有効です。Geminiに魅力的な状況設定を考えさせ、そこに至るまでの物語と、その後の展開を逆算して作らせます。

プロンプト例: 「主人公が、砂漠の真ん中で自分の名前だけが書かれた古い日記帳を見つける」というシチュエーションから始まる物語を考えてください。なぜ彼はそこにいたのか?その日記には何が書かれているのか?そして、この後の彼の目的は何になるのか?ミステリー要素を含むあらすじを作成してください。

アイデア出しプロンプトをさらに強化するコツ

アイデア出しで行き詰まったら、以下の視点をプロンプトに加えてみてください。思考の角度を変えることで、AIの応答もより多角的になります。

  • 逆説的な設定(ギャップ): 「極度に臆病な勇者」「一切魔法を使わない最強の魔法使い」「人を助けるのが大嫌いな心優しいヒーロー」など、一般的なイメージとは真逆の設定をリクエストする。
  • What If(もしも…): 「もし、人間が冬眠するようになったら社会はどう変わるか?」「もし、夢を他人と共有できる技術が発明されたら?」といった、世界の根幹を揺るがすような仮定の質問を投げかける。
  • 厳しい制約条件: 「登場人物は二人だけで、会話だけで進行する物語」「全ての出来事がエレベーターという密室の中だけで起こるサスペンス」など、あえて厳しい制約を課して、その中で可能な物語を考えさせる。

これらのプロンプトを活用することで、自分一人ではたどり着けなかったであろう、独創的で意外性に満ちた物語の入り口を、効率的に見つけることができるはずです。アイデア出しは、AIが最も得意とする分野の一つなので、恐れずに様々な角度から質問をぶつけてみましょう。


Geminiで小説プロンプトの実践的な書き方

  • 面白い物語のプロットを作成させるプロンプト
  • キャラと世界観を構築するプロンプト術
  • 文体指定と修正・リライトをさせるプロンプト
  • Geminiで一貫した長文小説を執筆するコツ
  • やってはいけないGemini小説プロンプトのNG例

面白い物語のプロットを作成させるプロンプト

面白い物語のプロットを作成させるプロンプト

読者を惹きつけ、最後までページをめくらせる物語には、骨格となるしっかりとしたプロット(物語の設計図)が不可欠です。行き当たりばったりで書き進めると、物語は途中で破綻しがちです。Geminiにプロット作成を依頼する際は、古くから伝わる物語の「型」、すなわち「フレームワーク」を指定すると、より構造化され、読者の感情を揺さぶる面白いあらすじを生成させることができます。

ここでは、代表的な物語のフレームワークである「三幕構成」をより詳しく活用したプロンプトを紹介します。

三幕構成(Three-Act Structure)とは?

多くのハリウッド映画やベストセラー小説で用いられる、ストーリー構成の黄金律です。物語を「第一幕(設定)」「第二幕(対立)」「第三幕(解決)」の3つのパートに分け、それぞれに特定の役割を持たせることで、物語に自然なリズムとカタルシスを生み出します。

  • 第一幕:発端(Setup) - 主人公と日常の世界が紹介され、物語を動かす最初のきっかけ(インサイティング・インシデント)が起こる。
  • 第二幕:中盤(Confrontation) - 主人公が次々と困難に直面し、葛藤し、成長していく。物語で最も長いパート。
  • 第三幕:結末(Resolution) - 物語がクライマックスを迎え、全ての対立が解消され、新しい日常が訪れる。

このフレームワークの各要素をプロンプトに組み込むことで、Geminiは物語の起伏やターニングポイントを意識した、より詳細なプロットを作成してくれます。

プロンプト例: 以下のあらすじを、ハリウッド映画でよく使われる「三幕構成」に沿って、各パートの主要なイベントを含む詳細なプロットに組み立て直してください。各幕のターニングポイント(プロットポイント)も明確に示してください。

# あらすじ

平凡な司書として働く女性が、ある日偶然、古代の魔法書を発見する。彼女はその本に秘められた力で世界を救う宿命を負うことになるが、その力を狙う闇の組織が彼女に迫る。彼女は仲間と共に、自身の恐怖心と向き合いながら戦うことを決意する。

このプロンプトを実行すると、Geminiは単なる出来事の羅列ではなく、各イベントが物語の中でどのような役割を果たすのかを構造的に整理した、以下のようなプロットを提案してくれます。

生成されるプロットの例

  • 第一幕: 主人公の退屈な日常。魔法書との出会い(インサイティング・インシデント)。最初の小さな魔法の成功と、それによって闇の組織に存在を知られる(プロットポイント1)。
  • 第二幕: 闇の組織からの最初の襲撃と逃亡。主人公を助ける仲間との出会い。魔法の本格的な修行と失敗。仲間との対立と和解。最大の危機と絶望(ミッドポイント)。
  • 第三幕: 決戦への決意(プロットポイント2)。最終決戦でのクライマックス。魔法の真の力に目覚め、敵を打ち破る。世界に平和が戻り、主人公が新しい役割を見つける(終幕)。

「三幕構成」の他にも、神話学者ジョーゼフ・キャンベルが提唱した「ヒーローズ・ジャーニー」や、日本の伝統的な「起承転結」など、物語のフレームワークは数多く存在します。自分の書きたい物語の雰囲気に合わせて、色々な型を試してみるのがおすすめです。

フレームワークを指定することは、AIに物語作りの「文法」を教えることと同じです。これにより、単なる出来事の羅列ではない、読者が自然に感情移入できるストーリーラインを生み出すことが可能になります。

キャラと世界観を構築するプロンプト術

キャラと世界観を構築するプロンプト術

物語に深みとリアリティを与え、読者を没入させるためには、息づかいまで感じられるような魅力的なキャラクターと、あたかもそこに存在するかのような細部まで作り込まれた世界観が欠かせません。プロンプトを使ってこれらの重要な要素を効率的に、かつ深く構築していくための、より高度なテクニックを紹介します。

キャラクターの内面を深掘りする

キャラクターに命を吹き込むには、単なる外見や性格(外面)だけでなく、その人物を突き動かす内面的な動機、つまり「物語」を設定させることが極めて重要です。生い立ち、過去のトラウマ(ゴースト)、価値観、弱点、そして「手に入れたいもの(Want)」と「本当に必要なもの(Need)」のギャップなどを具体的に指定することで、行動に一貫性のある、人間味あふれるキャラクターが生まれます。

プロンプト例: 過去に相棒を救えなかったというトラウマ(ゴースト)を抱える、皮肉屋のベテラン刑事のキャラクター設定を作成してください。彼の表面的な目的(Want)は「犯人逮捕による復讐」ですが、彼が物語を通して本当に得るべきもの(Need)は「過去からの解放と自己の許し」です。この内面の葛藤が感じられるような性格、癖、弱点を設定してください。

このようなプロンプトは、キャラクターにドラマを与え、物語を通じて成長する可能性を秘めた人物像を創り出します。

世界観設定シートを体系的に活用する

特にファンタジーやSFといった、現実とは異なるルールで動く世界を描くジャンルでは、読者が没入できるリアルな世界観が求められます。歴史、文化、技術レベル、社会構造といった項目を網羅した「世界観設定シート」をプロンプトに組み込み、AIに質問させる形で世界を構築していくと、体系的で矛盾の少ない世界を創り上げることができます。

世界観設定シートの質問項目例

以下の項目を表形式でGeminiに渡し、それぞれの質問に答える形で内容を生成するように指示します。

大項目 AIへの質問(詳細項目)
地理・環境 この世界の気候や地形にはどのような特徴がありますか?主要な都市の名前と、その都市が栄えている理由は何ですか?この世界にしかいない、特有の動植物はいますか?
歴史・文化 この国はどのように建国されましたか?過去に起こった、今も人々の価値観に影響を与えている大きな戦争や災害はありますか?人々が信仰する宗教や神話、独特の芸術や食文化について教えてください。
社会・政治 どのような政治体制(王政、共和制など)ですか?社会にはどのような階級が存在し、階級間の関係はどうなっていますか?この世界で最も重い罪は何で、どのように裁かれますか?
技術・魔法 技術レベルは現代地球のどの時代に相当しますか?魔法が存在する場合、それは誰でも使えるものですか、それとも特別な血筋だけですか?魔法のエネルギー源は何で、使用にはどのような代償やリスクが伴いますか?

プロンプト例: これから作成するファンタジー小説のために、上記の表の質問に答える形で、独自の社会構造を持つ世界観を構築してください。特に「魔法のエネルギー源と、使用に伴うリスク」について、ユニークで詳細な設定を考えてください。

このようにテンプレートや表形式を活用して網羅的に質問することで、設定の漏れや矛盾を防ぎ、厚みのあるキャラクターと、それらが生きるにふさわしい説得力のある世界観を、効率的に作り上げることが可能になります。

文体指定と修正・リライトをさせるプロンプト

文体指定と修正・リライトをさせるプロンプト

小説の雰囲気や読後感を大きく左右するのが、文章のトーン、すなわち「文体」です。また、一度生成した文章を、より洗練され、読者の心に響くものに磨き上げる「リライト」の工程も、質の高い作品作りには欠かせません。Geminiにこれらの繊細で感覚的な作業を依頼するための、より効果的で具体的なプロンプト術を解説します。

文体や視点を多角的に指定する

プロンプトで文体や視点を明確に指定することで、物語全体のトーンを統一し、狙った読書体験を生み出すことができます。単純な指定だけでなく、著名な作家の名前を挙げたり、複数の要素を組み合わせたりすることで、よりニュアンス豊かな指示が可能になります。

  • 文体の指定:「ですます調で」「である調で」「簡潔でリズミカルな、ヘミングウェイのような文体で」「詩的で叙情的な表現を多用した、幻想文学のような文体で」
  • 視点の指定:「主人公・アキラの一人称視点で」「全ての登場人物の心の中まで見通せる、神のような三人称視点(全知視点)で」「特定のキャラクターの視点に限定した三人称視点(限定三人称視点)で」

プロンプト例: 以下の文章を、江戸川乱歩を彷彿とさせるような、やや古風で倒錯的な美意識が感じられる、妖艶な一人称視点の文体に書き換えてください。

目的別の文章修正・リライト

Geminiが生成した文章が少しイメージと違う場合、具体的な指示を与えて修正させることができます。ポイントは、漠然とダメ出しをするのではなく、「どう変えてほしいか」という改善の方向性を明確に伝えることです。

漠然と「もっと良くして」と頼むのは、地図を持たずに「どこか良い場所に連れて行って」と言うようなものです。「このセリフを、もっと主人公の焦りが伝わるように、息遣いが感じられるような短い文章に書き換えて」と指示する方が、格段に良い結果が得られます。

以下に、様々な状況で使えるリライト用プロンプトの具体例を挙げます。

目的別リライト用プロンプトのバリエーション

  • 表現を豊かにする: 「この情景描写は視覚に偏っています。風の音(聴覚)、潮の香り(嗅覚)、湿った空気(触覚)など、五感に訴えかける表現を追加して、より臨場感のある文章に書き換えてください。」
  • セリフをキャラクターに合わせる: 「このセリフは主人公の性格に合っていません。彼はもっと無口でぶっきらぼうなはずです。彼の性格を反映した、より短いセリフに修正してください。」
  • 文章のペースを調整する: 「この戦闘シーンは展開が遅すぎます。一文を短くし、リズミカルでスピード感のある文章に書き換えて、読者の緊張感を高めてください。」
  • 伏線を仕込む: 「この日常シーンに、後の展開で重要になる『銀のロケットペンダント』を、読者に意識させすぎないように、さりげなく登場させてください。」
  • 視点を変更する: 「この感動的な再会のシーンを、主人公の視点ではなく、再会相手のキャラクターの視点から書き直してください。彼女が抱えていた不安と安堵の感情が伝わるようにしてください。」

修正やリライトは、一度で完璧を目指す必要はありません。Geminiを優秀なアシスタントとして捉え、対話を重ねながら少しずつ自分の理想の文章に近づけていく、という彫刻のような意識で取り組むのが成功のコツです。

Geminiで一貫した長文小説を執筆するコツ

Geminiで一貫した長文小説を執筆するコツ

前述の通り、Geminiをはじめとする大規模言語モデルの最大の弱点の一つが、長文における文脈や設定の一貫性を維持することの難しさです。これは、AIが決して「物語を理解している」わけではなく、統計的に次に来る確率が高い単語を予測しているに過ぎないためです。しかし、いくつかの工夫を凝らし、人間がAIの「外部記憶」として機能することで、この弱点を克服し、一貫性のある長編小説を執筆することが可能になります。

最強の「外部記憶装置」としてのGoogleドキュメント

最も効果的で、全てのユーザーに推奨される方法が、Googleドキュメントを小説の「設定資料集」としてリアルタイムで更新し、活用する方法です。GeminiはGoogleのサービスであるため、Googleドキュメントとの親和性が非常に高いという明確な利点があります。

  1. Googleドキュメントで「設定資料集」と名付けたファイルを作成します。このドキュメントを、物語に関する全ての情報のマスターデータベースとします。
  2. 「世界観」「登場人物」「プロット」「時系列年表」「伏線リスト」などの大項目を作り、物語が進むにつれて判明した新しい設定や、追加したキャラクター情報を、その都度追記・更新していきます。
  3. ドキュメントの共有設定を「リンクを知っている全員が閲覧可」にし、そのURLをコピーします。
  4. 新しいチャットセッションを始める際や、AIの応答がおかしくなってきたと感じた時に、プロンプトの冒頭でそのURLを貼り付け、内容を再読み込みさせるように指示します。

プロンプト例: こんにちは。小説執筆の続きをお願いします。まず、以下のGoogleドキュメントにまとめてある最新の設定資料をすべて読み込み、内容を完全に理解し、記憶してください。このドキュメントの情報が、私たちの世界の絶対的なルールです。

https://docs.google.com/document/d/xxxxxxxxxx

読み込みが完了したら、「準備完了」とだけ返信してください。

この方法を使えば、長大な設定資料を毎回プロンプトに貼り付ける手間が省け、URL一つでGeminiとあなたの創作世界を常に同期させることができます。これは、AIの短期記憶を補うための最も確実な手法です。

gemini.mdによる普遍的ルールの自動読み込み

より技術的なアプローチに抵抗がない、上級者向けの方法として、Google Gemini CLI(コマンドラインツール)を活用する方法もあります。プロジェクトのルートフォルダにgemini.mdという名前のMarkdownファイルを作成し、そこに小説全体の普遍的なルール(文体、ジャンル、AIへの基本指示、絶対に破ってはいけない設定など)を記述しておくと、コマンド実行時にGeminiが自動でそのファイルを読み込んでくれます。

注意:この方法はコマンドラインの基本的な操作知識を必要とする、やや上級者向けの方法です。ほとんどのユーザーにとっては、前述のGoogleドキュメント連携で十分な一貫性を確保できます。

これらの方法を駆使して、AIに物語の「ルール」を忘れさせない、あるいは忘れかけた時にすぐに思い出させる工夫をすることが、長編小説を破綻なく書き進めるための最も重要な鍵となります。

やってはいけないGeminiを使った小説プロンプトのNG例

やってはいけないGeminiを使った小説プロンプトのNG例

Geminiの性能を最大限に引き出すためには、効果的なプロンプトの書き方を知るだけでなく、「AIの思考を混乱させる悪いプロンプト」を避けることも同じくらい重要です。ここでは、初心者が陥りがちな、避けるべきプロンプトの典型的なNG例を、その理由と改善策と共に詳しく紹介します。

NG例1: 曖昧で漠然としすぎている指示

AIは人間のように文脈の裏を読んだり、あなたの意図を忖度したりすることはできません。指示が「お任せ」に近すぎると、AIは何をすれば良いか分からず、学習データに含まれる最大公約数的な、ありきたりで質の低い文章しか生成できません。

  • 悪い例: 面白い小説を書いて。 (何が「面白い」のか、ジャンル、登場人物、文字数など、判断材料が一切ありません。)
  • 良い例: 「宇宙に取り残された最後の人間」をテーマにした、希望と絶望が描かれるSF小説の結末部分を、読者が涙するような感動的な展開で執筆してください。主人公は、人類の記録を未来の知的生命体に向けて残し、静かに眠りにつきます。 (テーマ、ジャンル、展開、結末、感情の方向性まで具体的に指定しています。)

NG例2: 矛盾した条件を含んだ指示

プロンプトの中に論理的に矛盾した情報や制約を入れると、AIはどちらの指示を優先すべきか判断できずに混乱し、支離滅裂な文章を生成したり、一方の指示を完全に無視したりする原因となります。

  • 悪い例: 主人公は感情を表に出さない、極めて無口な性格です。彼が初めて会ったヒロインに対して、自分の辛い過去について情熱的に、雄弁に語るシーンを書いてください。 (性格設定と行動が完全に矛盾しています。)
  • 良い例: 主人公は普段、感情を押し殺し無口に振る舞っています。しかし、初めて会ったヒロインが、かつて自分が救えなかった妹と瓜二つだったため、心の堰が切れてしまいます。彼女の前でだけ、彼は堰を切ったように自分の辛い過去について語り始めます。その心情の劇的な変化が伝わるシーンを書いてください。 (行動の裏にある「理由」を説明することで、矛盾が解消され、ドラマが生まれます。)

一見矛盾しているように見える設定でも、その矛盾が生まれる「なぜ?」を加えてあげるだけで、AIは文脈を理解し、キャラクターの深みとして描写してくれるようになります。

NG例3: 一度に多くのことを要求しすぎる指示

一つのプロンプトにあまりにも多くの、そして関連性の薄いタスクを詰め込みすぎると、AIは指示の全体像を把握できず、結果的にすべてのタスクが中途半端な品質で終わってしまうことがあります。

  • 悪い例: これから書くファンタジー小説のために、新しいキャラクターを5人作成し、それぞれの詳細なプロフィールを作り、彼らが初めて酒場で出会うシーンを書き、さらにこの世界の詳細な地図と年表も考えてください。 (キャラクター作成、シーン執筆、世界設定という複数の大きなタスクが混在しています。)
  • 良い例: タスクを意味のある単位に分割し、一つずつ順番に依頼する。
    1. 「まず、主人公のライバルとなるクールな剣士のキャラクターを作成してください。」
    2. 「次に、彼が主人公と初めて酒場で出会い、緊張感が走るシーンを書いてください。」
    3. 「最後に、この物語の舞台となる王国の、簡単な歴史年表を作成してください。」

倫理的に不適切な指示にも注意

Geminiは、差別的、暴力的、またはその他の有害なコンテンツを生成しないように設計されています。Googleが定めるAI倫理原則に反するような、非倫理的な内容や、著作権を侵害するようなコンテンツ(例:「村上春樹の未発表の新作のような小説を書いて」)の生成を指示することは避けるべきです。AIを責任ある形で利用することが、創作者には求められます。

最適なGeminiで小説を書くプロンプトを総括

この記事では、Geminiを強力な執筆パートナーとするための、初心者向けから上級者向けまで、様々なプロンプト術を網羅的に解説してきました。生成AIの技術は日進月歩であり、総務省の報告書が示すように、その活用範囲は今後ますます拡大していくと予測されています。(出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」)最後に、これまでの内容を振り返り、あなたが自分だけの最適なプロンプトを見つけ、この新しい時代の創作活動をさらに楽しむための要点をリスト形式でまとめます。

  • Geminiはアイデア出しや多様な文章表現の生成を得意とする創作の起爆剤である
  • 長文における物語の一貫性の維持は苦手なため人間の監督と編集が不可欠
  • 初心者はまず物語の核となるコンセプトを固め短い文章の生成から始めるのが安全
  • 優れたプロンプトは役割・指示・文脈・出力形式の4つの基本要素で構成される
  • 基本テンプレートを活用し自分の書きたいジャンルに合わせてカスタマイズすると作業効率が飛躍する
  • アイデア出しでは異なる要素の掛け合わせや厳しい制約がユニークな答えを引き出す
  • 三幕構成などの物語フレームワークを指定することでプロットの質が向上し破綻しにくくなる
  • キャラクターの動機や世界観のルールを設定シートで管理しAIと共有することが重要
  • 文体や視点を著名作家の名を借りるなど多角的に指定することで表現の幅が広がる
  • 修正依頼は漠然としたダメ出しではなく「どう変えてほしいか」を具体的に伝えることが成功の鍵
  • Googleドキュメントを外部記憶装置として活用することが長編執筆における一貫性維持の生命線となる
  • 曖昧・矛盾・過剰な要求はAIを混乱させるプロンプトの典型的なNG例
  • AIへの指示は優秀だが融通の利かない部下への依頼のように具体的かつ段階的に行う
  • AIとの対話を何度も重ね試行錯誤すること自体がプロンプトのスキルを向上させる最良の訓練となる
  • 最終的にはAIを単なるツールではなく共に物語を紡ぐパートナーとして捉え共作する意識を持つことが大切

-AI・ソフトウェア系サブスク